2024.10.30
ことばを書き散らし、選び、磨く
「メディコス編集講座第4期」 第4回

第4回は、ゲスト講師としてコピーライターの丸原孝紀(まるはら・たかのり)さんを迎えて開催しました。
丸原さんいわく、
「どんなにいい記事も、タイトルがいまいちだとスルーされてしまう。つまり、読んでもらえない」。
スルーされないように、キャッチコピーの発想でタイトルを考えることが重要とのこと。頭の中で目的と相手を考え、語り掛けることばを意識してタイトルをつけているそうです。
丸原さんが実際に手掛けてきたタイトルやキャッチコピーを例に出しながら、どんなことを考えてタイトルをつくるのか解説をしてもらいました。
解説のあとは、受講者から多くの質問が出ました。
「最近は動画でPRすることも増えたと思う。その動画のタイトルやキャッチフレーズは記事につけるものとは差別化しているのか」
という媒体によるタイトルの付け方についての質問には、
「ショート動画などが増えている。文字が画面に映る秒数や、映像とマッチするフレーズを考えている」
と答え、
「伝えたい相手の立場になって考えるというが、属性が自分と全く違っていた時はどうする?」
という読者の立場になり切れないときの対処法を聞く質問には、
「同じ人間、生き物なので共感できるところを探す。細かいニュアンスは図書館でその属性の人をターゲットにした雑誌などをたくさん見て勉強する」
と丸原さんは答えていました。
見てもらえるタイトルにするには、自分が伝えたいことが相手の知りたいことと一致している必要があります。そのためには客観視が大事で、ぱっと思い浮かんだくだらないことでもとりあえず書く。書いて、書いて、自分が自分でなくなるくらい書き散らすことがタイトルをつけるコツなんだそう。そうすることで、独りよがりでないことばが出てきてそれぞれの媒体や対象に合ったタイトルが生まれるとのことです。
解説と質問の時間が終われば実践です。
第3回で受講生が書き上げた記事の1つをお題に、タイトルを考えました。
まずは個人でひたすら付箋にタイトルの案を書き出していきます。
記事を読み込んで、文中に出てくる印象に残った単語を書き連ねる人もいれば、記事のイメージから考える人もいました。
書いて、書いて、頭がトロトロになるくらいに書き散らしました。
わずか15分足らずで、一人で20個近くの案を出した人もいました。
タイトル案を書き散らした次は、選んで磨く時間です。
お互いの案を見せ合うため、前方に設置したホワイトボードに付箋を貼り、丸原さんが一つ一つ読み上げていきました。
その中で受講者は“いいな”と直感的に思ったものに拍手や声上げをしてタイトル案を選びます。
「意味が分からないことばがある。でも面白いし頭に残るから使いたい」
「格好つけたフレーズになってしまう」
という受講生のつぶやきに、丸原さんは
「頭に残るけど訳が分からないことばは、分からないものフォルダに入れられてしまう。説明になるものと組み合わせたタイトルにするといい」
「恰好つけたフレーズしか出てこないときは、いったんそれを書き出してみて、自分で突っ込みを入れてみたり、まぁ結局…と続けて表現を変えてみたりすると新しいフレーズが出てくる」
と、アドバイス。
受講生たちはそれを受けて、気に入ったタイトル案をさらに磨き上げ、全員に共有したところで第4回の講座時間は終了を迎えました。
第5回は10月12日(土)「写真も撮れる編集・ライターになるための、インタビューカットの撮り方」
それぞれがカメラを用意して講座に臨みます。
メディコス編集講座第4期の概要は以下リンクからご覧ください。