~嗅ぐ、あそぶ、知る、つくる、耽(ふけ)る~ ぎふ木遊館という森でいやされる |ブログ|岐阜市シビックプライドプレイス

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~嗅ぐ、あそぶ、知る、つくる、耽(ふけ)る~
ぎふ木遊館という森でいやされる

ぎふ木遊館の内観

山や森に行って、「気持ちいい~!」と背伸びをしたことはありませんか?

忙しい毎日に疲れているとき、森を歩いてみたら癒された、という経験をした人は多いと思います。

ならば次の休みは山登り!

といきたいところですが、ちょっとハードルが高い…そんな時、街の中で森を感じられる場所が岐阜市内にあります。

ぎふ木遊館~ぎふもくゆうかん~」です。

私はぎふ木遊館の案内人。きっと行ってみたくなる、ぎふ木遊館の魅力をお届けします。

自動ドアが開き館内へ… ここは森?


「ようこそ!」と言うように、入り口に向かって大きな口を開けてみんなを出迎えてくれるのはスギの木のトンネル。樹齢400年、直径1.5mのスギの巨木の遊具です。中心部が朽ちていましたが、くり抜いてトンネルの遊具として生まれ変わりました。

次に目に入るのは、あちこちにニョキニョキッと立って存在感を放つ10種12本の木。ホオ、ケヤキ、イチイ、ブナ、トチ、ヒノキ、スギ、キリ、サワグルミ、コウヤマキ。

聞いたことのある木の名前はあるでしょうか?

森を体感してもらおうと、県内各地の山から伐り出し、大きなトラックで大切に運んできました。森にあった時の姿が想像できるように、木の皮がついていたり、鹿にかじられた跡がそのまま残されているものもあります。

木そのものが弱っていたり、枝が隣の木の邪魔をしていたりする木を見極めて伐採し、成長させるべき木を残し守っていくことが、元気な森を育てることにつながります。森を歩いているような気分で12本の木を探してみては。

岐阜の木をふんだんに使った建物、遊具もおもちゃも全部木でできているぎふ木遊館。入り口で、たくさんの人が「木のにおいがする!いいにおい!」と大きく息を吸い込みます。屋内に入ったのにまるで森の中に入った時のように深呼吸したくなります。

木でつくられたおもちゃは、触るとほんのり温かくてすっと手になじみます。木の種類で手触りや重さが違うので、いろいろな遊び方が生まれます。

「さとやまさん」

おや? どこかで泣き声が聞こえます。なかなか泣きやまなくて隣りにいるお母さんは困った顔をしています。「元気だね~、おいくつですか?」と声をかけたのは「さとやまさん」です。

おしゃべりしたり、おもちゃを手にとったりしているうちに、お母さんはいつの間にか笑顔になって、泣いていた子は安心したように遊びはじめました。さとやまさんと話すと、かたくなっていた気持ちがほどけていくような感じがします。

さとやまさんは、みんなの遊びをサポートしてくれるぎふ木遊館にはなくてはならない人たちです。「さとやまさん」という名前は、日本に昔からあった「里山」からきています。里山は人の暮らしと自然が交わる場所。人と自然の真ん中にある里山のように、ぎふ木遊館でみんなのそばにいて、優しく見守る存在でありたい、そんな想いを込めて「さとやまさん」と名づけられました。

さとやまさんは「ぎふ木育(もくいく)」の研修を受けた人たちです。豊かな森を次の世代にどういう形で残していけばいいのか、私たち大人は子どもたちに何を伝えていけばいいのか、みんなで一緒になって考えていくことをぎふ木育は目指しています。

ぜひさとやまさんに話しかけてみてください。おもちゃのこと、そのおもちゃの材料になった木のこと、その木が育った森のこと、たくさんのことを教えてくれます。

あそぶだけじゃないぞ。

ぎふ木遊館には、のこぎり、げんのう(金槌)、電動いとのこ…などを備えた木工室もあり、木育を体験できるたくさんのプログラムが用意されています。親子でどんぐりのキーホルダーを作ったり、電動いとのこを使って本格的な木工が楽しめるものなど、講師がアイデアをひねり出して企画するプログラムの数々は、ラインナップを見ているだけでもワクワクします。

大人だけが参加できるものもあります。斧やナイフを使い、丸一日かけて丸太から一本のスプーンをつくりあげる、その名も「スプーンクラブ」。各地からこのプログラムを求めて集まった大人たちが、黙々と一つの作業に没頭できる贅沢時間。シュッシュッとナイフの音だけが響く木工室は、子どもたちが遊ぶ広場とは全く異なる特別な空間です。

お好みのプログラムは見つかりそうですか?

『どんぐりキーボルダーをつくろう』

『電動いとのこ』

『スプーンクラブ』

岐阜に森がある幸せ。

岐阜県は面積の81%が森林。森で生まれた小さな川は、長良川、木曽川、揖斐川…そして伊勢湾につながっていきます。おじいちゃんおばあちゃん、そのまたおじいちゃんおばあちゃんから受け継いだ大切な森。

ぎふ木遊館は、こんなにたくさんある森のことを知り、身近に感じてもらえるようにと願いを込めて建てられました。

建物の真ん中でふ――っと息を吐ききって目を閉じると、風で木の葉がこすれあうサワサワ、ザワザワとした音や、透き通った小川の流れや、苔の深い香りがしてくるような気がします。ぎふ木遊館で味わうそんなひとときを、みなさんもぜひ、どうぞ。

森は、案外近くにあります。

 

ぎふ木遊館
TEL:058-215-1515
住所:岐阜市学園町2-33
開館時間:事前予約制(1部 10:00~11:30、2部 13:00~14:30、3部 15:00~16:30)
休館日:毎週水曜日(水曜日が祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日〜1月3日)、施設点検日
入館料:大人300円(高校生まで無料)

 


<書き手>メディコス編集講座 第2期生 小澤歩美

メディコス編集講座とは、岐阜市の魅力的な情報を集め・発信する担い手育成を目的として岐阜市が開催している講座であり、令和4年度の第2期までに48名が修了し、市民ライターとして活動しています。