岐阜・柳ヶ瀬の味と心、赤いツバメとともに東京へ。「ツバメヤ日本橋店」オープン |ブログ|岐阜市シビックプライドプレイス

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岐阜・柳ヶ瀬の味と心、赤いツバメとともに東京へ。「ツバメヤ日本橋店」オープン

岐阜・柳ヶ瀬の味と心、赤いツバメとともに東京へ。「ツバメヤ日本橋店」オープン

東京駅八重洲中央口から外に出て、平和の鐘がある八重洲通りをまっすぐ進むことおよそ5分。
ヒューリック八重洲通ビルの1階にツバメヤ日本橋店がオープンしました。日本橋高島屋からも近く好立地での開店、初日は大盛況でしたが、苦労もあったようです。

ツバメヤ代表の岡田さや加さんに、開店までの道のりのお話を伺いました。

 

「オープンの時に誰も来てくれないんじゃないか」

ツバメヤは岐阜市柳ヶ瀬で2010年に創業。毎日でも食べたい体が喜ぶ「お菓子」をコンセプトに、“まっちん”こと町野仁英氏を商品プロデューサーに迎え、素材にこだわったお菓子を作り続けてきました。

米や豆や粉のおいしさを生かした独自の和菓子を作る町野氏の著書

2016年には名古屋に進出し、大名古屋ビルヂング店をオープン、連日賑わいをみせています。
そうして徐々に岐阜市だけにとどまらず、ツバメヤのお菓子は広く知られるように。さらに2023年8月18日、日本橋店がオープンしました。

ツバメヤ日本橋店のオープン日にお邪魔しました。

岡田代表(右端)、まっちん(左端)、とツバメヤ日本橋店のスタッフの皆さん(写真提供:岡田さや加さん)

東京出店を漠然と考えていたのは2、3年前だと岡田さんは話します。
大名古屋ビルヂング店に続く次の展開を考えたときに「ツバメヤは店舗を増やし続けることは考えていない。もし出すんだったら東京しかないのかな」と考えていたそうです。1年ほど物件を探し、決めたのはオープンの半年前だったそう。

「柳ヶ瀬の時はある程度みんなが私のことを知ってくれているし、名古屋のときは商業施設の中ということもあったけれど、東京に関しては無名だからオープンの時に誰も来てくれないんじゃないかって」

しかし、それは杞憂な心配だったようです。オープンの日、開店前から30人ほどが並んでいたのです。
私が東京駅から店まで歩いている時にも、手にツバメヤの紙袋を持った人たちとすれ違いました。紙袋に描かれた赤いツバメが東京の街に飛んでいたのです。
日本橋店はツバメヤの代表菓子3種でスタート

ツバメヤ日本橋店で販売されているのは岡田さんが「一番ツバメヤらしい商品」と話す3種類、わらび餅、どら焼き、草もちです。

箱いっぱいに敷き詰められたきな粉の中からわらび餅を探しだすワクワク感。とろけるような食感と主張しすぎない優しい甘み、口に入れた瞬間思わず目尻が下がるほど。

包丁で切られた四角いわらび餅ではなく、丁寧に手切りされた丸みのあるわらび餅です。
純黒糖、北海道産の大豆の香りと甘みを引き出したきな粉を味わってください。

ツバメヤのどら焼きは石臼挽きした小麦全粒粉と平飼い卵が使われています。全粒粉の生地は少し香ばしく、特別栽培小豆と粗糖で炊いたあんこもほどよい甘さです。
全粒粉の生地は少し香ばしく、特別栽培小豆と粗糖で炊いたあんこもほどよい甘さです。

全粒粉が使われているどら焼き(写真提供:ツバメヤ)

草もちは無農薬栽培の国産よもぎをたっぷりと入れた深緑色のやわらかいお餅の中に、特別栽培小豆と粗糖で炊いた風味豊かなあんこを包んであります。
オープン初日の夕方、店に伺うと売り切れていました。

濃い緑が印象的な草餅(写真提供:ツバメヤ)

場所が変わればお菓子の出来も変わる

お菓子はすべて店内で作られています。
オープンにあたりプロデューサーの町野氏が東京に10日間滞在し、スタッフに製造方法を伝授することに。
ところが、岐阜の店舗とは設備が違い、都市ガスからプロパンガスになったことで岐阜のレシピでは同じ味が作れないという試練が! 日本橋店に合わせてすべてのレシピを組み立てなおすことになりました。

ガスが変わることでどんな変化があるのか、町野氏に伺いました。

「体感的に(都市ガスより)火力、熱量が強いですね。その分蒸発というか、水分が飛ぶから岐阜と一緒のことをやっているつもりでも同じものができてこない。一緒のお菓子でも場所が変わればこんなにも変わるんだと実感しました」

東京での出店にあたって、東京のスタッフが作れるよう細かく調整する日々だったようです。

どら焼き作りの指導をする町野氏(写真提供:岡田さや加さん)

「岐阜のレシピでやればできるっていうわけではない。そんな甘いもんじゃないとは思っていましたけども、実際やってみてこうなんだって1日1日積み重ねがあって、ようやくここまできました。なるべくベストで、みんなが作れる和菓子にしたいなっていう、それについていけるみんなのモチベーションとか仕事加減とかもきちんとあてはまらないと、いくらそのとおり作ってもできないので」

町野氏は東京滞在の日々、夜は気持ちを切り替えるために『孤独のグルメ』の主人公、井之頭五郎のように一人での夕食を楽しんでいたそう。

「まったく頭を切り替えたくて、じっとしていても考えられへんので、行ったことがない地域で知らない店に入って、ドキドキしながらどういう料理が出てくるんだろうって。そうやって楽しむことで『よっしやろう!』となりました」

 

思い描く理想の店づくりができた日本橋店
柳ヶ瀬店ではわらび餅の箱はプラスチック製を使用中。本来は環境にも配慮して、そういうものを排除していきたいと考えているそうで「日本橋店では完全に木の箱にして、値段も大幅に上げましたが、そこは妥協なく変えました」と代表の岡田さんは語ります。

値段を上げて挑戦できるのは東京ならでは?とお聞きすると

「そうですね。でも本当は、岐阜も木箱を使いたい。東京に合わせて店を作ったというより、本来私が思い描いている店づくりを東京への出店を機に整えたのです。いずれ岐阜もさらなる理想に近づけたお店に変えていきたいなと思っています」

日本中の有名店がしのぎを削る東京で出店するという岡田さんの挑戦に感銘を受けました。
岡田さんの想いが詰まった日本橋店が関東で広く知ってもらえる日を、東京の街に赤いツバメがたくさん飛び交うことを願って。

ツバメヤ日本橋店
東京都中央区日本橋3丁目5の12
営業時間 10時~夕方(土曜日は売り切れ次第閉店)
定休日:火曜日
電話 03-6262-6838
ぎふ柳ヶ瀬ツバメヤ(tsubame-ya.jp)

 


<書き手>メディコス編集講座 第2期生 小笠原ゆき

メディコス編集講座とは、岐阜市の魅力的な情報を集め・発信する担い手育成を目的として岐阜市が開催している講座であり、令和4年度の第2期までに48名が修了し、市民ライターとして活動しています。