世界と岐阜が、心でつながる和菓子!?創業133年「揖斐菓匠庵・みわ屋」 |ブログ|岐阜市シビックプライドプレイス

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世界と岐阜が、心でつながる和菓子!?
創業133年「揖斐菓匠庵・みわ屋」

世界と岐阜が、心でつながる和菓子!?<br>創業133年「揖斐菓匠庵・みわ屋」

ほっと一息つくお茶や珈琲の時間に欠かせない菓子。

今日は暑いからさっぱりとしたもの?
それともカラダを気遣ってヘルシー素材のもの?
あれこれ悩むのも楽しいものです。

今日は、ここ岐阜、そして世界各地と深~いつながりを感じられる菓子を紹介します。

岐阜市から車で約30分、揖斐郡揖斐川町にある創業明治22年の「揖斐菓匠庵・みわ屋」さん。岐阜市内のイベントに出店されることも多く、また市内茜部にあるロシア雑貨&フェアトレードのお店「フラマン」さんでもこのお店の菓子を手に取ることができます。

常識に囚われない菓子づくり

「みわ屋」さんのお店を覗いてみると、ユニークで楽しい菓子の名前にワクワクしてしまいます。

たとえば「奇跡のシナモン大福」

シナモンと大福の組み合わせには最初驚きましたが、和名はニッキ、といえば納得。和菓子にもとっても相性が良いのです。ここで使われるのは、スリランカ産のフェアトレードシナモン。一口でもしっかり感じられる「奇跡の甘さ」と香りに癒されました。

「揖斐川小もち鮎」

岐阜に鮎菓子は多けれど、子持ち鮎を象ったものは珍しいです。見た目もとてもかわいく、食べてみてはじめて気づくおなかのなかの「小餅」になんだか嬉しくなりました。

「薔薇かをる」

隣接する大野町で盛んに栽培される、バラの花を菓子にというアイディアが面白い。懐かしい雰囲気のバラのかたちと優しい色合いにまず心くすぐられます。さらに口に含むとあんからふんわり薔薇がかをり、思わず深呼吸してしまいました。

どれもこれも、自由な発想から生まれるみわ屋さんの菓子たちに、すっかり心掴まれてしまいます。

ユニークな菓子が生まれる秘密とは?

「みわ屋」さんには、和菓子だけでなく洋菓子の職人さんが、それぞれの菓子の伝統を大切にしながら、知識や知恵そして技術を持ち寄り、「新しい菓子を生み出していきたい」という心意気で、日々挑戦をつづけておられます。

さらに紹介します。
地元名産のほうじ茶とネパールからのフェアトレードのスパイスを組み合わせて生み出された「ほうじチャイまんじゅう(別名デレ・チャイ)」。

まず名前につけられた「デレ」は、ネパール語で「すごく」の意。実は岐阜弁も同じで、これは面白い!と、そのまま商品名となったそう。生地に練りこまれたほうじ茶は、地元の縁ある茶園からの仕入れたものを使用し、中の白あんにはネパール産のフェアトレードジンジャーとシナモンを練り込んであります。

ネパールは元々、職人のご夫婦が長くご縁のある国。大震災以降も継続的に支援を続けてきたという。この商品はネパールを今後も継続的に支援を続けたいという想いから生まれたといいます。

ほうじ茶の皮はほんのり甘く優しい香りがあって、そこにシナモンとジンジャーの香りがふわっと口のなかに広がる秀作です。

そして、「こめドラ黒胡椒バター」は、どら焼きと黒胡椒の珍しいコンビネーションです。岐阜産の米粉100%からつくられたふわっふわの生地に、たっぷりのあん、発酵バター、岩塩、その上にカンボジアから届くフェアトレードの黒胡椒がアクセントになっています。甘いだけが苦手な人も抵抗なく食べられる、甘じょっぱい「大人のおやつ」です。

みわ屋さんはなぜフェアトレードにこだわるのでしょうか?

みわ屋さんは、シナモンや胡椒などフェアトレードの材料を積極的に使っています。それはどんな想いからなのでしょうか。
ここで改めて、「フェアトレード」の材料ってどういうものなのかを一緒に考えてみましょう。

一言で言うと「つくる人も、使う人もみんなが笑顔になれる材料である」ということ。信頼できる生産者から、お互いに対等な立場で(フェア)取引されている(トレード)材料であるということ。

生産者への感謝や尊敬の気持ちから、十分な対価が払われ、生産者の生産や健康が守られると同時に、継続的に生産できるよう、生産地の環境にも負荷をかけず、持続可能な方法でつくられているものです。

また一定の国際基準があります。

■国際フェアトレード基準とは?

国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)により、開発途上国の小規模生産者・労働者をまもり、トレーダーとの取引を行なうよう、

  • 経済的基準:最低価格の保障、長期的取引の促進など
  • 社会的基準:安全な労働環境、差別や児童労働・強制労働の禁止など
  • 環境的基準:農薬・薬品の使用削減と適正使用、土壌、水源、生物多様性の保全、遺伝子組み換えの禁止など

を定めたもの。生産者の対象地域や産品も決められています。
(フェアトレードジャパンホームページより)

大量生産や大規模プランテーションでつくられたものに比べると「フェアトレードは高い」とも言われます。しかし「みわ屋」さんのお菓子は、手に取りやすく、普段の生活にも寄り添ってくれるのも大きな魅力です。みなさんのチョイスが、世界をちょっとだけ良い方向に後押しすることにつながっていくのです。

お菓子ひとつで世界を知り、
お菓子ひとつで世界を考え、
お菓子ひとつから支援ができて
いつか
お菓子ひとつで世界が変わる

優しさの連鎖で世界が少しでもよくなりますように。

フェアトレードの世界が広がりますように!
そしてフェアトレードに興味を持ってくださるかたが、少しでも増えますように。

出典:みわ屋さん公式インスタグラム

職人さんたちの、「本当にいい材料を使いたい」というこだわりと、新しいお菓子を創っていきたいという柔軟な発想から生まれる、唯一無二の菓子たちにこそ、愛情と手間ひまをかけて作られているフェアトレードの材料が選ばれる。そうやって生み出された菓子が、この地域の人たちどうしを、また世界の人たちとも、繋がりが広がり循環している。これからどんな広がりが続いていくのかが楽しみです。

イベントや手土産に、洋菓子が好まれる昨今、和菓子の古いイメージを、ユニークで柔軟な発想で、人気者の菓子に変身させた、
そして、フェアトレードを生活に取り入れることへのハードルの高さを、ぐっと下げて、日常から世界へ想いを馳せることのできる「身近で手に取りやすいおやつ」を届けていこうという心意気に、深く胸を打たれます。

これからも、応援を続けていきたい、岐阜の「推し」の菓子屋さんです。

 

 


<書き手>メディコス編集講座 第2期生 村上 沙智代

メディコス編集講座とは、岐阜市の魅力的な情報を集め・発信する担い手育成を目的として岐阜市が開催している講座であり、2期目となる令和4年度には第1期生と第2期生を合わせて48名が修了し、市民ライターとして活動しています。