”楽しい”が人とまちを変えるクセ強社長の魅せる流儀 |珍ちんな人|シビックプライドプレイス

interview

No.24

”楽しい”が人とまちを変える
クセ強社長の魅せる流儀

坂口 輝光さん

スクリーン印刷 株式会社坂口捺染 代表取締役
T.W.R 代表取締役・店長

1982年岐阜市生まれ

岐阜の高校を卒業後、単身で渡米して現地の大学を卒業。その後、日本に帰国して、生まれ育った岐阜市で実家がかねてより営んできた株式会社坂口捺染に就職。現場の仕事、生産管理の仕事を習得し、2014年には32歳の若さで3代目の代表取締役に就任する。「従業員が楽しく成長できる会社づくり」の実践により業績を急成長させ、Tシャツプリントの全国シェアはトップクラスに。自分や大人が楽しんでいる姿を子どもたちに伝えるための町おこしの活動にも精力的に取り組む。金髪・金のネックレスがトレードマークの“クセ強社長”として全国のメディアが注目。

    1. 現在のあなたの活動について教えてください

-現在の仕事に至るまでの坂口さんの経歴を教えてください。

まず、岐阜の高校を卒業して2日後に英語なんて全然話せないけど勢いで単身アメリカに行ったんだよね。それで現地の語学学校に通い、昔から古着が好きだったからアメリカで一番有名な古着のまちって云われるパサデナってところの大学に進学した。それで卒業後に結婚して、お金を稼ぐために朝から晩まで現地でアルバイトしてたよ。アルバイトも普通のだと面白くないから、社会復帰を目指す囚人と一緒に公共施設を掃除したり解体する仕事をした。日本でいう鳶職だね。そんないろんな経験をアメリカでしたけど、子どもが産まれることをきっかけに日本に戻って今の仕事を始めたよ。

-坂口捺染の仕事内容を教えてください。

まず、捺染とは生地に色を付けることで、古くは着物の染め物から始まり、そこから時代と需要の変化に伴って現在の「プリント」と呼ばれる業態に転換してきた。うちの会社では、シルクスクリーンプリントという工法でTシャツを作っている。使用するインクにはいくつか種類があるけど、うちではほぼ100%水性のインクを扱っているよ。実は水性のインクって蒸発・腐敗・乾燥しやすくて管理も表現も難しいんだけど、その分、奥が深いんだよね。だから、オーダーされた色を出すために、機械じゃなくて人の技術で、それも1滴単位で色を調整してます。

-仕事をするうえで大切にしていることについて教えてください。

僕が大切にしていることは人とのつながり。従業員がどうしたら笑顔になれるのか、成長できるのか、それを日々追及してます。そのための安心できる環境作りやきっかけ作りが僕の仕事の1つで、朝忙しい人は昼から出勤すればいいことにしたり、親御さんが楽できるように子どもの使う文房具やおやつの揚げパンを社内で売ったりしている。それに働く意欲があれば年齢なんて関係ないと思ってるから、近所の公園で毎週ゲートボールをしていて働きたいって言う元気な高齢の方も採用してるよ。そんな僕の想いをみんなで共有したいから、うちの経営理念には「繋がりを軸に一人ひとり光輝く未来を」と書いてある。仕事をするうえで8割はきついこと、つらいことなのは当たり前かもしれないけど、楽しいと思う残りの2割がそれを上回れるか、どう楽しむかが大切だね。

-捺染業とは別で、町おこしにも力を注いでいらっしゃいます。始めたきっかけや活動内容について教えてください。

子どもにフォーカスしてみると、不登校の子が多い、忍耐力がない、嫌なものは何でも嫌と言えばいい、そんな環境の中で育って、社会でもまれない時代になりつつある。それなら、小さいうちから知らない大人と触れ合う機会があったほうがいいと考えたんだよね。地元の子どもたちが楽しめる駄菓子屋をやったり、キッチンカーを出したり、マグロの解体ショーをしたりしているけど、正直なところ活動内容は何でも良いと思っている。いかに自分が楽しんでいるかを子どもたちに伝えたいから、それを自分自身が表現している。早く大人になりたい、こんなに大人って楽しいのかと子どもたちに思わせたいと思っています。

-町おこしの活動を通して感じる地域の変化について教えてください。

変化は常に感じています。いろんな活動を通して、内気だった子どもたちが自分を見つけたら進んであいさつしてくれるようになったし、子ども以外からも声をかけられるようになった。あと、町おこしの活動も会社の仕事も、ともに楽しみながら成長していくという根底の考えは同じで、従業員と一緒になってやっているんだよね。そんな姿を見た地域の人たちから「うちの会社で働きたい」、「会社の雰囲気が明るい」なんて話をされることもあって、それは嬉しい変化だと思っている。

  1.  
  1. あなたの考えるシビックプライドとは?

岐阜は自分が生まれ育った大切な町。でも、岐阜の人はどっちかというと人の意見に流されやすい人が多いように感じる。もっとオープンマインドになって一人一人が自分に自信を持てる、意見を主張できる町にしたいです。

  1. コメント

「大人だろうが子どもだろうが人生は楽しい‼」。これを自分が体現しながら、みんなで分かち合えるようにしたいですね。


会社の工場の一角。コロナ禍で表現の場が少ない中、坂口さんが場所を提供し、岐阜市立女子短期大学の学生さんが制作したアート作品。
「T.W.R」はThe West Riversideの略語で、坂口さんが代表を務める活動団体の名称。活動の拠点である地元板屋川の西河畔を意味する。

取材日 2023/6/15

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