さて、おとなの夜学は、私たちの暮らす岐阜のまちがこれまで育んできた文化や歴史を図書館から発信しよう、という企画です。
昨年から継続的に行ってきたおとなの夜学も今年度最後の開催となりました。
今回も「岐阜にいながら知らなかった岐阜のこと」、興味深い岐阜のお話をゲストの方から伺いました。
今回のゲスト、一人目は元岐阜市歴史博物館学芸員で現在は犬山城白帝文庫研究員をされている、筧真理子さん。
伊奈波神社教学研究員もつとめていらっしゃいます。
そしてもう一方は以前もおとなの夜学に登場してくださった小野崎隆賢さん。
お座敷や地歌舞伎での囃子方、岐阜舞妓の育成、長良川舟遊びなど遊宴文化の研究・再生に取り組んでいらっしゃいます。
昨年、山・鉾・屋台行事がユネスコ世界無形文化遺産に登録され、
日本の祭りは今、世界中から注目されています。
登録された33のお祭りのうち、3つは岐阜県のお祭りです。
「岐阜祭」とは、なんなのでしょうか。
岐阜市民の氏神である伊奈波神社や金神社をはじめ、
市内各所の神社が毎年春に行う例祭にあやかり、市民も祭りを楽しもうと始まったのが岐阜祭の由来だそうです。
神幸祭の日には伊奈波神社から金神社、橿森神社を神様が巡ると言われています。
最初に、長年学芸員として研究をされている筧さんから、古い資料からひも解く岐阜祭について、教えていただきました。
岐阜祭について残っている最古の資料は1496年のものだそうですが、
記録はそう多く残っているわけではありません。
筧さんによると毎年行われている祭についてなど日常的な事柄はなかなか記録が残されにくく、
また、特に岐阜祭の場合は濃尾震災をはじめとする大きな災害で記録が失われてしまいました。
今回は数少ない資料の中でどのように岐阜祭がとらえられ、まちの人々に愛されてきたのか、筧さんに解説していただきました。
小野崎さんにはお祭りの山車につきものであるお囃子について解説していただきました。
お祭りに欠かすことのできないお囃子ですが、その曲一つ一つの意味合いなどはあまり知られていないかも知れません。
山車が運行する際に流れるお囃子は音を鳴らして悪いものを追い払うためのものと言われています。
岐阜祭のお囃子は能楽に起源があり、その優雅さが特徴です。
山車が運行する際の「車切」、神社入り、神に近づいていくときにはものものしい雰囲気の「神楽」、
神社に山車を奉納した後ホッとした気持ちで演じるにぎやかな「七間町」、などそれぞれの場面に応じた曲が演奏されます。
お囃子はずっとテープで再生されてきましたがこれらの音楽を生演奏にしていく取り組みが現在行われているそうです。
今回のおとなの夜学はスペシャルバージョン。
お囃子の生演奏復活に目下取り組んでいる子どもたちが特設ステージで演奏を披露してくれました。
太鼓の迫力ある音、笛の優雅な音、先ほど解説していただいた場面の説明を踏まえて聞くと、
お祭りの様子がよりリアルに目に浮かぶようでした。
今後、岐阜祭はどのように受け継がれていくのでしょうか。
どうたくさんの人を巻き込んでいくかが大切だと小野崎さんはおっしゃいます
。今の子どもたちがかっこいい!やりたい!と思える祭を残していきたいと、
震災により記録の少ない中形を変えながらも乗り越え、
残ってきたものを大切に守っていこうとする筧さんや小野崎さんの言葉に触れ、
伝統を受け継いでいくことについて改めて考えさせられました。
今回で今年度のおとなの夜学は最後になります。
たくさんのご参加をありがとうございました。
毎月おこなってきましたおとなの夜学ですが来月よりしばらくお休みをいただきます。
またパワーアップして帰ってまいりますのでお楽しみに!