喫茶店の多い岐阜で育った僕は、そうでもない母を喫茶店に連れていきたい。 |ブログ|岐阜市シビックプライドプレイス

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喫茶店の多い岐阜で育った僕は、
そうでもない母を喫茶店に連れていきたい。

喫茶店の多い岐阜で育った僕は、<br>そうでもない母を喫茶店に連れていきたい。

僕は喫茶店が好きだ。

例えば文章を書いたり、簡単な事務的な作業をするとき。或いは友達と会って話をするとき。甘いモノを食べたくなったとき。それから、単に早起きしたとき、とか。なんだかんだと理由をつけて僕はいつも喫茶店を訪れる。

人の顔を覚えるのが苦手な僕でも、行きつけの喫茶店の店員さんの顔を覚え始めた。向こうも平日の昼間に現れる謎の眼鏡男のことを認知している頃だろう。
・・・ちょっと、恥ずかしくなってきた。

「ビリオン珈琲」のスムジーノ。
砕いた氷が入っていて、これを飲まないと夏が始まらない。

岐阜県は人口に対して喫茶店の店舗数が全国で二番目に多い県(全日本コーヒー協会調べ)であり、一世代あたりの喫茶代年間支出額は三年連続一位(総務省家計調査より)である。喫茶店文化は紛れもない岐阜の文化の一つだと言えるだろう。

そんな「喫茶大国」で育った僕が喫茶店をこよなく愛するようになるのは、ごく自然なことだ。だが、北海道生まれの母は岐阜の喫茶店文化について理解を示していない。僕の出産とほぼ同時期に岐阜に越してきた彼女は約30年この街に暮らしている。それだけ長くこの街に暮らしていても、「おやつ」のためにお金を使うことに抵抗があるようだ。

僕はそんな母の考え方を否定できずにいる。物価高に伴い節約を強いられる昨今の情勢も相まって、貴重なお金を浪費しろとは言えない。僕と違い自分で美味しい料理ができてしまう母にとって、喫茶店はコストパフォーマンスが悪い場所になってしまうようだ。

キャプションにも使用した「恵寺尊」の美味しいハンバーグ。
付け合わせの野菜炒めは塩だれが良く合う。

そもそも、食事をすることが目的の食堂やレストランと違い、喫茶店は安さや量、味を必ずしも追求する場所ではない。公的な手続きを行う場所ではないし、日用品を購入する場所でもない。喫茶店は、必ずしも町を構成するのに必須な施設ではなく、母のように価値を理解できない人もいる。

それでも、全国各地さまざまな場所に喫茶店は存在する。人々の心に安らぎを与え、孤独を紛らわせる優しい空間を人が欲しているから。

喫茶店の使い方は人それぞれだ。簡単な食事を済ませて、ずっと新聞を読んでいる人。飲み物一杯を注文して、延々とお喋りをしている人。持ち込んだノートパソコンとにらめっこしながら、注文した珈琲を待っている人。まさに十人十色、人によっていろんな使い方がある。

彼らは飲食店にやって来たのに、必ずしも食事だけを目的にしていない。それでいいのだろうか?

勿論、良い。ここでは食事が終わってもすぐに席を立たなくて良い。お喋りを続けても、太陽を眺めながら物思いにふけっても良い。人々の憩いの場となれる懐の深さが、喫茶店の素晴らしさだ。

人間の生活にはゆとりが必要だ。心を休める時間が必要だ。
喫茶店の真価は「安らげる空間」にこそあると、僕は思っている。

「Cafe de vivre」のミルクティー。
泡立てたミルクは芸術のようだ。

岐阜は喫茶店の多い町だ。生活に必須でもない施設がたくさんあるということは、それだけ人々の生活に余裕があるとも言える。
店が多ければ選択肢も多い。どこのモーニングが好きで、どこのデザートが美味しいか。食べ比べのために歩き回るだけで、毎日がきっと楽しくなる。岐阜の喫茶店文化は、誰もが心に余裕をもって楽しく生きるために生まれた文化なのだ。

最近韓国のアイドルにぞっこんの母は韓国語の勉強を始めた。しかし、リビングに人が来ると気になって仕方がないと言う。そういう人にこそ、意外と喫茶店は向いていると思う。喫茶店は自分が選んで入っていく場所だ。後から人が入ってきても、今更気にはならないだろう。

僕は喫茶店が好きだ。
この素晴らしさを母にも伝えたい。
そのために、なんとかして母を喫茶店に連れていきたい。

折角書いたこの記事を見せてみようか?
・・・ちょっと、恥ずかしいだろうか。
とりあえず、いつものあの店に行って考えることにした。

メディコス内にある「シビックプライドプレイス」で駅近くのカフェを検索してみた。
いつか全部行ってみたい。

【取材店情報】
恵寺尊 なんじゅ店
住所:岐阜県岐阜市島栄町3-1-14

ビリオン珈琲 則武店
住所:岐阜県岐阜市則武東1丁目8-22
公式HP:http://birioncoffee.com/?page_id=141

Cafe de vivre
住所:岐阜県岐阜市早田栄町1-30 meison de Do 1F
公式HP:https://i-do-gifu.co.jp/cafe_de_vivre.html

 


<書き手>メディコス編集講座 第4期生 レンズマン

メディコス編集講座とは、岐阜市の魅力的な情報を集め・発信する担い手育成を目的として岐阜市が開催している講座であり、令和6年度の第4期までに83名が終了し、市民ライターとして活動しています。