柳ヶ瀬の魅力に取り憑かれた2人が語る、進化し続ける”サンビル”のつくり方。 柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社 土肥彩香さん 福富梢さん |ブログ|岐阜市シビックプライドプレイス

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柳ヶ瀬の魅力に取り憑かれた2人が語る、進化し続ける”サンビル”のつくり方。 柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社 土肥彩香さん 福富梢さん

サンビル土肥さん、福富さん

岐阜市の中心部に位置する柳ケ瀬商店街で毎月第1土曜日と第3日曜日に開催される「サンデービルヂングマーケット」(以下サンビル)では、商店街全体を会場に、ハンドメイドの雑貨や日用品、こだわりのコーヒーやスイーツまでたくさんのお店が集まります。

にぎわいを見せるサンビル

多くの人が訪れにぎわいを見せるサンビル。(画像提供:柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社)

認知度は年々上昇し、名古屋からも多くの人が訪れるサンビル。
第3日曜日に開催されるときは130店舗以上の出店が集まります。
いま岐阜市で最も勢いのあるイベントと言っても過言ではないでしょう。

そんなサンビルは、なんと3人の事務局メンバーにより運営されています。今回は事務局のお2人、土肥彩香さんと福富梢さんにお話を伺いました。
お2人のサンビル、そして柳ヶ瀬への熱い思いに迫ります。サンデービルヂングマーケットのフラッグ

働くきっかけは「柳ヶ瀬愛」

ーー本日はよろしくお願いします。
  早速ですが、お2人がこの会社で働くことになったきっかけをお教えください。

土肥さん:私は富山県出身で、大学進学ではじめて岐阜市に来ました。当時は「まちづくり」とかはまったく分野外だったんですが、サンビルのボランティアをしたのがきっかけで「柳ヶ瀬にまだいたいな」という気持ちが芽生え、卒業後も岐阜市に住み続け、今に至ります。

福富さん:私はゴリゴリの地元民です。小さい頃の柳ケ瀬商店街はシャッターが閉まったお店ばかりだったんですが、だんだん雑貨屋さんや古着屋さんができたりして、柳ヶ瀬で過ごすことが増えていきました。他のイベントでも、出店者や運営としてずっと柳ヶ瀬に何かしらの形で関わってきました。就職をするときも柳ヶ瀬で活動するこの会社で働きたいなと思って、土肥さんに直接「求人ないですか?」と聞きました(笑)

「大学卒業後も、まだここにいたい、と思い岐阜で仕事をすることを決めました」と笑顔で語る土肥さん。

サンビルの歴史と背景。イベント運営の苦悩とは…

ーーお2人とも全く異なったバックグラウンドをお持ちですが、柳ヶ瀬で働くことを選ばれたのですね。
  続いてはサンビルについてお伺いしたいと思います。
  サンビルはいつから、どのような理由で始まったイベントなのでしょうか。

土肥さん:2014年9月から始まりました。今年で9年目を迎え、2022年12月3日の開催で100回目になりました。

福富さん:理由については、郊外型ショッピングモールが台頭し、商店街のテナントが撤退したため、空き店舗が増えたことにあります。商店街の活性化のため、新規出店者が出店しやすい環境づくりの一環としてイベントを開催したのが始まりでした。

 

ーー100回の開催、おめでとうございます。コロナ禍以後、月に2回以上の開催となっているようですが、なぜ2回以上開催されるようになったのでしょうか。

土肥さん:2020年以降、コロナ禍となり、大規模な集客イベントをすることが難しくなりました。一時期は全く開催しない時期もありましたが、イベントをなんとか存続させたいという思いから、規模を縮小して継続実施する方法がないか、模索しました。
その結果、第1土曜日と、第3日曜日の月に2回開催するという今の形が出来上がりました。

福富さん:第1土曜日は出店も30店舗ほどでこじんまりと「日常」に特化したイベントに、第3日曜日は通常開催というふうに区別をしています。第1土曜日は芝生を敷設してくつろげる空間を作ったり、それぞれで違った雰囲気が楽しめます。

サンビルに欠かせない、出店者と運営の熱意

ーーサンビルを継続させるため、新たな挑戦をされたんですね。
  サンビルでは多くの出店者さんが集まっていますが、その選考は事務局でされるのでしょうか。

土肥さん:基本的には事務局で全て行っています。サンビルのコンセプトは、「手づくり・こだわり」です。商品自体の品質はもちろん、HPSNSでの商品の見せ方など、全て拝見させていただいてトータルで判断しています。事務局としてはサンビルと柳ヶ瀬に熱い想いを持った方にぜひ出店していただきたいと思っています。

サンビルの様子

さまざまな世代が買い物を楽しんでいる。

ーー毎月、応募があった店舗すべてをチェックするのはかなり大変な作業だと思いますが、こうした努力が「サンビルらしさ」を守っているんですね。ではサンビルを運営する中で一番重要だと思うことはなんですか。

土肥さん:やはり、出店者さんの選考とレイアウトが肝です。レイアウトによって来場するお客様の動線が決まるので、どのエリアに人を呼び込みたいのか、というイメージや、出店者さん同士での相乗効果が見られるようなレイアウトを意識しています。

福富さん:出店者さんとは積極的にコミュニケーションを取りたいので、当日は出店者さんのところを回ったりしています。実際に事務局が狙った通りの動線でお客様が移動しているかは現場を見てみないとわからないので、サンビル当日は柳ケ瀬商店街の中を走り回っています。

店主と談笑する二人

常連の出店者さんと談笑するお2人

挑戦し、変化し続けるサンビルの今後

ーー事前準備から当日の運営まで、お忙しそうな様子が伝わってきます。
  サンビルの今後について、お2人の思いをお聞かせください。

土肥さん:9年目にもなると認知度は上がり、「サンビルっていろんな出店があって、なんか盛り上がっているイベントだよね」というイメージが出来上がってきています。もちろん実際に多くの方に来ていただけるようになって大変ありがたいのですが、来る人の属性が偏っていて、若い人の来場がまだまだ少なかったり、新規の方が来ていなかったりする現状があります。

2023年1月にはじめて「フルギロード」という古着に特化した企画をやったんですが、いつものサンビルにはいない若い人たちが来てくれました。サンビル常連のお客さんも意外と興味を持ってくれていたし、逆に古着目当てで来た若い人たちも商店街を巡ってくれる、という回遊性がうまれていて、今後も続けていけたら面白そうだなと思いました。

フルギロードの様子

初回の開催時にも年代・男女を問わず多くの人が訪れたフルギロード(画像提供:柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社)

福富さん:新たな試みとして始めた「フルギロード」は空き区画をどうやって活用していこうか、というところから始まりました。どうしようか模索しているときに、商店街の古着屋さんから、「古着をやったらいいんじゃない?」と提案があり、私自身も日頃から柳ヶ瀬の古着屋さんに通っていたので、面白そうだなと。事務局でも「古着はいける!」と盛り上がり、企画名を考えたり、ロゴの作成など準備を進めてきました。

新しい企画を立ち上げる時は、本当にお客様が来てくれるのか、出店者さんに満足していただけるのか、不安で押しつぶされそうになりますが、今後もこういった取り組みをどんどん増やしていきたいです。

土肥さんと福富さん

「新企画の立ち上げはやっぱり不安で、イベントの前日は1時間しか寝れなかったです」と福富さん。

目当てのお店があっても無くても、ついつい足を運んでしまうサンビル。
初回の開催から9年目を迎えた今でも立ち止まらずに、常に進化をし続けようと挑戦する運営事務局の活躍があってこそ、今日のような地域を超えて多くの人々に愛されるイベントになったのでしょう。

出店者さんとポージング

「ぜひサンビルに来てください!」と出店者と一緒にポーズ

 

土肥彩香

富山県出身。学生時代サンビルのボランティアを経て、2019年柳ヶ瀬を楽しいまちにする(株)に入社。柳ヶ瀬やその周辺のまちが好きで、現在は柳ヶ瀬のとあるビルで愉快な仲間達とシェアハウス生活をしている。

福富梢

岐阜県出身。2022年柳ヶ瀬を楽しいまちにする(株)に入社。文化のためのなんでも屋、「文化屋」店主。

 

※2023年4月より、サンデービルヂングマーケットは毎月第3日曜日と偶数月の第1日曜日に開催されます。

この記事は、「メディコス編集講座」第2期の講座の一環として受講生が制作しました。
インタビュー・校正:岩田龍明、楠原愛理、塩澤僚子、角谷明日香、福富梢、執筆:小野木克允

 

メディコス編集講座第2期の概要は以下リンクからご覧ださい。
岐阜を編み、岐阜を集める「メディコス編集講座 第2期」