居場所があるまち
「この”まち”には居場所が多い。」
メディコス編集講座の最終回、一緒に受講した高校生の子と講座の振り返りを岐阜市役所の17階でまちを眺めながら話していた。その時思ってもみなかったセリフが自分の口から飛び出した。そして、その時間も私にとっての居場所だと感じたんだと思う。

居場所ってなんだろう
居心地よくいられる場所?いつもの安心できる場所?頼ったり頼られたりできる関係?人の数だけ答えがあると思う。
私は、人であっても場所であっても、「ここにいてもいいんだなぁ」と心から思える瞬間があった時、そこを居場所だと思う。何かスキルがあるからとか、損得とかじゃなくて、”存在として受け入れられている”と感じられる関係性があることではないだろうか。
会う口実が欲しい
岐阜市に移住してから、1人で過ごすのは好きだけど、どこか寂しさを感じていた。それでも、このまちで暮らしていく中で私にとっての居場所がちょっとずつ、時間をかけてつくられていった。

文章の書き方を学びたい、なんだか面白そうな講座があるなと思ってメディコス編集講座に申し込んだ。全6回を楽しんで続けられたのは、個性豊かで素敵な人達と一緒に取り組めたから。心地よい雰囲気づくりをしてくださった講師の方々やスタッフの方々の心遣いがあったから。
世代も分野も違う人たちが集まってみんなで文章の書き方を学ぶ。なんだかチームができたみたいで嬉しかった。

「早朝に金華山登りに行こうよ」と誘う。自然に囲まれて他愛のないお喋りをしながら山頂へ辿り着く達成感を味わい、“今日”を一緒に始めたいから。

「鵜飼を見に行こう!」と言って長良川プロムナードに集まるのはみんなに会う口実が欲しいから。お気に入りの景色を共有したいから。
「来年は屋形船に乗りたいね」なんて話して、また会う約束をする。
鵜飼と一緒に自分たちの歴史が重ねられていく。
観察してみる

散歩するのが好きだ。エリアごとに流れている空気が違ったり、発達してきた産業の色が濃く残っている。これまでの変容、そしてこれからどう変わっていくのかを想像して歩くだけでも面白い。
ちょっと歩き疲れたら近くの喫茶店に寄って、一息ついてみる。
窓の外を眺めながら物思いに耽る。お店に何度か通って、お気に入りの席を見つけてみるのも楽しい。店内を観察していると、なんでそれがそこにあるん?と突っ込みたくなるディスプレイになっていたりする。この空間が作られてきた時間に思いを馳せてみる。
食事をするだけじゃなくて、心の栄養も摂取できるのが喫茶店の醍醐味だったりするのだ。
気がついたらそこが居場所に
誰かと一緒に時間を過ごせる場所。1人でゆっくりと過ごせる場所。その両方のバランスがちょうどいいから、岐阜のまちは心地よくいられるんだと思う。
「あぁ、わたしはここにいてもいいんだなぁ」と思える居場所が沢山見つかった。そして、それが心のお守りになってくれている。
寂しさを感じていた移住当初とは違って、今では1人自転車で橋を渡りながら、大好きな長良川を眺めるだけで心が満たされていく。そして、このまちで出会った心温かい人たちと過ごす時間が好きになった。
岐阜に住んで3年が経った時に「魅力のあるまちに出会えると人生が豊かになる」と日記に書き残していた。岐阜歴7年が経った今、改めて思ってみても同じ気持ちだ。
岐阜を面白がっているうちに、あなただから見えてくる魅力があるかもしれない。そして、気がつけばそこが居場所になっているかもしれない。
この記事を通して、少しでもまちの楽しみ方を知ってもらえたら嬉しい。
〈記事中で紹介したスポット〉
岐阜市役所 展望スペース「つかさデッキ」
ぎふ長良川の鵜飼
金華山
喫茶店 コメディアン
ぎふメディアコスモス
<書き手>メディコス編集講座 第4期生 吉田 実加
メディコス編集講座とは、岐阜市の魅力的な情報を集め・発信する担い手育成を目的として岐阜市が開催している講座であり、令和7年度の第5期までに103名が終了し、市民ライターとして活動しています。
