兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川 ・・・かつてはどこにでもあった里山の情景を求めて岐阜市東部「すずろしの里」の里山まつりに参加してみて思ったこと |ブログ|岐阜市シビックプライドプレイス

blog

兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川 ・・・かつてはどこにでもあった里山の情景を求めて岐阜市東部「すずろしの里」の里山まつりに参加してみて思ったこと

兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川 ・・・かつてはどこにでもあった里山の情景を求めて岐阜市東部「すずろしの里」の里山まつりに参加してみて思ったこと

近年、野生動物が人間の生活圏に出没するようになった原因の一つに里山の放置が挙げられています。
しかしながら里山と言われてもどんなものなのか?

「田舎の山のこと?」
「山奥?」
「岐阜市にもあるの?」

イメージが漠然としていて説明するのはなかなか難しそうです。
分かりやすく言えば里山とは、ズバリ!文部省唱歌「故郷(ふるさと)」に出て来る風景なのです。

故郷

作詞 高野辰之
作曲 岡野貞一

兎(うさぎ)追いし かの山
小鮒(こぶな)釣りし かの川
夢は今もめぐりて
忘れがたき ふるさと

如何(いか)にいます 父母
恙(つつが) 無しや友垣(ともがき)
雨に風につけても
思い出ずる ふるさと

志(こころざし)を 果たして
いつの日にか 帰(かえ)らん
山はあおきふるさと
水は清き ふるさと

歌詞の描く情景は高野辰之の故郷、長野県中野市豊田地区の風景がモチーフと言われているそうです。

そしてこのモチーフは実は全国各地にごく普通にある風景だったとのこと。それゆえこの歌を聞くと各々が自分の故郷を思い描くことが出来るのだそうです。
ありがちですが「兎追いしかの山」を「兎美味しかの山」と勘違いしていた人も多いのではないでしょうか?

この兎追いし、とは何のことなのか?疑問に思い調べてみたところ、昔は冬季のたんぱく源確保のため村人総出の兎追いがあったそうです。

そして環境省による里山(里地里山)の定義は

『里地里山とは、原生的な自然と都市との中間に位置し、集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地、ため池、草原などで構成される地域です。農林業などに伴うさまざま人間の働きかけを通じて環境が形成・維持されてきました。
 里地里山は、特有の生物の生息・生育環境として、また、食料や木材など自然資源の供給、良好な景観、文化の伝承の観点からも重要な地域です。』

とのこと。
簡単に言えば人里に近く、継続的に人間の手が入る森林、それにより人間の影響を受けた生態系が存在する山ということです。

そこで岐阜市にある里山を調べてみると主な里山に東端部に位置する「大洞すずろしの里」金華山東山麓に位置する「達目洞ヒメコウホネ自生地湿地」などがあるようです。

その中でも「大洞すずろしの里」では平成21年に発足した「大洞の里山つくろう会」のメンバーが月に1度の里山の保全活動(下草刈りや枝の伐採)を行っているとのこと、活動には中学生も参加しているとのことで誰でもと言ったら語弊があるかもしれませんが、参加のハードルは思ったより低そうです。
保全活動の他にも毎年「里山まつり」を開催しているとのことで、今回その里山まつりに参加してみました。

令和7年11月22日に「大洞の里山つくろう会」と「芥見東まちづくり協議会」の主催により開催された第13回「里山まつり」。
会場では和太鼓などの演奏と野菜や果物など農産物の販売、豚汁や焼きそば、お団子におもちなど美味しそうな飲食物の販売が行われていました。

演奏の様子。階段状になっているのはこの場所がかつては棚田だったためでステージにうってつけ

まずはハッシュポテトを購入。

「あ!あったかいですね」
「今ここで揚げたばっかりやで」

隣には焼きそば、お団子、豚汁。向かいの大きなテーブルでは係の方が何やら作業をしています。見てみるとつきたてのお餅を丸めて、餡ときな粉をまぶす作業をしているようです。傍らには石臼と杵が!石臼の中は残念ながら空でしたが、もう少し早く来ていたら餅つきを見学出来たかもしれません。

そして周りにはステージの演奏を聴きながら豚汁や焼きそばを食べる人たちの姿が。
私もステージ近くのベンチに座って豚汁をいただきましたが、出来たてで温かく100円とは思えない程の具の多さ。何より外で食べる豚汁の美味しいことといったら。

「これって利益は出てるんですか?」
「出てない、出てない。ステージの演奏もお金払って来てもらっとるし赤字やよ」
「こうゆうお祭りって岐阜市の他の里山でもやってるんですか?」
「お祭りはここだけかなぁ?」

里山の中には湧き水があり、写真を撮っていたところ
「いい写真撮れましたか?」
と声を掛けられました。
「はい、おかげ様で。ブログで発表しても大丈夫ですか?」
という会話から始まり「大洞の里山をつくろう会」のスタッフの方に興味深いお話を沢山聞くことが出来ました。

里山は野生動物との緩衝地帯の役割があると聞いていたので、近年何かと話題になることが多い野生動物について特に聞いてみました。

「最近は北部で鹿が増えとるかな。畜産センターの方で花壇にパンジーを植えたら鹿に食べられてまった。どうやらパンジーとビオラは特に美味しいらしくて・・・」

すずろしの里から少し歩くと、硯石と硯石池があるとのことで行ってみたいけど野生動物が心配という私に

「動物に遭遇した話はここでは聞かんよ。朝早くとか夕方以降やなかったら大丈夫やと思う。本来野生動物ってのは人間を怖がって向かって来ることはないものなんやけどね」

とのこと。しかしながら

「あ、そこ!イノシシ歩いとったわ。多分、朝方やろうねー。土がボコボコしとるやろ。あれイノシシが歩いた跡」

言われた方に目を向けると確かに地面がボコボコしている。そうは言っても素人の私から見ると言われるまで気づかない。

イノシシが歩いたためボコボコしている地面。ただし人間も歩いているので人の足跡も混ざっている

案外身近に居るものなんだな、野生動物・・・。お願いだから里山からは出て来ないでよ。いやその為の緩衝地帯の里山なんだよな・・・。

里山にいると時折ハラハラと頭上から木の葉が舞って来ます。見上げると木々の隙間から明るく綺麗な青空も見えます。風が吹いている訳でもなく、間隔も木の葉の量もバラバラでいわゆる“ゆらぎ”の類に含まれる現象なのかもしれません。

ハラハラと舞い落ちる木の葉と木々の間からのぞく青空

ふと気が付くとトンボがすぐ近くにいたりします。着ていたジャケットの肩の少し下に止まったトンボはまるでブローチのよう。スピリチュアルの観点から見ると蝶やトンボが体に止まると近い将来に幸運が訪れる前兆だとか。なんだか嬉しいな(笑)

箸に止まるトンボ

そんな予測出来ない小さな出来事が心を癒してくれる。11月にしては暖かい日差し、おいしい食べ物、小川のせせらぎ、これこそが里山を満喫するということなのではないでしょうか?

人手不足や高齢化も里山の放置の原因の一つだとは思いますが、そもそも里山で何かをしたという経験がないことから存在に気付けない、身近に感じられないなども放置の一因なのではないだろうかと思います。

参加者は高齢者が多かったのですが、前出の保全活動に参加する中学生など若い時に里山での作業を体験したり、遊んだりといった経験があれば、身近に感じることが出来、それが里山を守り受け継いで行くことにつながるのではないでしょうか?

秋田県出身の友人の実家では、昨今の熊の出没で今まで当たり前にしていたこと、例えば草刈りをしたり、山菜を採りに行ったりといったことが出来なくなってしまったとのこと。やはり里山を守るということは野生動物との緩衝地帯を作ることで私たちの生命、財産を守ることにもつながる大切な活動であると実感。今後、他の里山でも何かしらの活動が増えて行くといいな、と思った今回の里山まつりの参加でした。


<書き手>メディコス編集講座 第4期生 林 千穂

メディコス編集講座とは、岐阜市の魅力的な情報を集め・発信する担い手育成を目的として岐阜市が開催している講座であり、令和7年度の第5期までに103名が終了し、市民ライターとして活動しています。