No.13
ハレとケをつなぐカフェ店主
樋口 尚敬さん
喫茶星時店主
1982年生まれ 岐阜市在住
大阪・近畿大学を卒業後そのまま関西の一般企業に就職。サラリーマン時代にカフェという存在に惹かれ巡るようになる。しばらくして岐阜に戻り、興味を持った飲食業で働き始める。2017年に岐阜市神田町にあるシェアアトリエ「カンダマチノート」2階で「喫茶星時」を開業。喫茶営業を行う傍ら、イベントを定期的に開催している。
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現在のあなたの活動について教えてください
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2017年から岐阜市の中心市街地・柳ケ瀬から少し歩いた場所にあるシェアアトリエ「カンダマチノート」の2階で「喫茶星時」という喫茶店を営んでいます。喫茶店を始めたのはサラリーマン時代のカフェ巡りが背景にありますね。当時、関西に住んでいて色々なジャンルのお店を見て回ったんですが、レンタルスペースでカフェをやっているお店がイベントを企画していたりしていて、そういうのもカフェの1つの形なんだなと感じたことが今につながっているのかなと思います。
星時では自分が気に入ったドリンクや自家製ケーキを日々提供していますが、それらを評価してほしいとはあまり意識していなくて、お客様それぞれの時間を楽しんでもらうのが1番大事だと考えています。真剣なお話をされる方もいますし、勉強される方もいます。その人なりにこの空間を使ってもらえれば嬉しいですね。その中で、この場所を使ってカメラワークショップや椅子ヨガ、演劇、ボードゲーム会など、普段やる機会が少ないようなイベントを定期的に開催しています。企画に関してはこちらが主体となって立ち上げていくというよりもお客
様からの持ち込みがほとんどになりますね。例えば、高校生の一人芝居なんかも。その子からアプローチがあって2年間ずっと一緒にやってきたんですけど、自分ではできないことを目の前でやっている姿を見て本当にすごいなと感心しました。自分が意識していなかった事についての企画は、出会う度に新しい刺激をもらえ、自分自身が本当に楽しませてもらっています。
演劇のイベントの様子
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これからの野望(目標)について教えてください
自分の性格的なもので大きな目標というのはとても持ちづらいですが、人の何気ない日々を紡いでいきたいです。今通ってくれているお客様にとっても、これから来てくれるお客様にとっても、この喫茶店がふと気軽に立ち寄れるような、いわばその人の日常の延長にある存在でありたいと思っています。
とても難しいことですが、そんな目標を持ちながら、それとは相反するように自分のお店は誰かの小さな願いを叶える場でありたいとも考えています。それはイベントだったりするんですけど、やってみたいけどどうしたらいいか迷っている人たちが、気負いなく一歩を踏み出せるスモールステップの場所になればと思っています。何かを始める時、必要以上にハードルを上げてしまう人が多いですが、もっと気軽にやってみてもいいんじゃないかな。失敗しても次につながるし、そう考えると失敗なんて無いですよね。
そんな日常と非日常、ハレとケが重なる場所。何気ない会話を交わすことで、ここが心許す存在にもなり、その人の“やりたい”が生まれる場所にもなる。だからこそ自分のお店に来てくれる方とはこれからも出来る限りコミュニケーションを取りたいなと考えています。
喫茶星時が入るカンダマチノート
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あなたの考えるシビックプライドとは?
自分の生活範囲を思い起こしたときに、“良いな”と感じるポイントが見つかれば、その気持ち自体がシビックプライドだと言えると思うんですよね。自分の住んでいる場所には「何もないよ」という言う人も、外から来た他人に言われると「そうではない」と感じたりしますよね。その反発する気持ちは、土地に蓄積された歴史と思い出からきていると思うんです。だから、まちなかのイベントでも生活範囲の出来事でもいいので、どんな形でもその土地と関わりをもつ機会が増えていくと良いなと思います。
岐阜市はバランスが良くて住みやすい場所だと思います。バランスが良いからこそ余白がある。田舎過ぎず都会過ぎず、偏ることがなくて何も無いと思われがちですが、強いアイデンティティがないからこそ特定の言葉や物などに依存せず、それぞれが自分で考えて作り出すことができる余白があるんです。十人十色の“自分が良いと感じる答え”が出せる特色あるまちだと思います。
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コメント
岐阜という土地は広く、それぞれの地域が特色を持つ面白い場所だと感じています。暮らしたり訪れたりしてその土地の人と話すだけでも楽しくて、これからも色んな形で違う土地の人と対話し、知ることが出来れば良いなと考えています。機会があればぜひお話ししましょう。
取材日 2021/11/1