No.12
美しいまちとの調和を目指す建築家
門脇 和正さん
ELEPHANTdesign代表/二級建築士
長良川リバースケープLLP所属
象工作舎代表
1981年 岐阜市生まれ
2008年に長良で町屋を購入し建築設計事務所ELEPHANTdesignを設立、住空間や商業空間の設計を行う。2020年には象工作舎を設立し、設計施工へと事業形態を変化させた。また2018年に13名からなる長良川リバースケープLLPを共同で立ち上げ&n(アンドン)の共同運営をし、長良川鵜飼屋花火大会など長良川周辺のイベントを開催している。岐阜市民にもおなじみのツバメヤや、annon tea houseなど人気店を多く手がけている。
-
-
現在のあなたの活動について教えてください
-
2008年に独立してELEPHANTdesignを始めるときに、どこかのテナントを借りるのではなくて、その土地になじんでいる古い建物にしたいと思って探したんですが、たまたま見つけた古い町屋がすごく素敵で、家主さんと交渉して譲ってもらいました。こういう家を事務所にしているから古い建物のリノベーションが得意だと思われるのですが、そういうわけではなくて新築の住宅や店舗もたくさん手掛けています。町の中でも家の中でも同じですが、僕は必ずしも昔からある古いものを使わなくてはいけないとは思っていないんです。新しいものと元々あるものを仲良くさせて、初めからそこにあったかのような、まちに溶け込こむ建築にしたいと思っていて、それはこの町屋を拠点にした時の思いと共通していると思います。無垢や漆喰のような建材が良くて、合板やビニールクロスが良くないというのはすごく狭い考え方で、古いものも新しいものも、本物も偽物も、色んな個性があるべき最適な場所に調和しているということが大事だと思うんです。もしかしたら人間にも通じるかもしれないですね。
長良川リバースケープは長良や鵜飼屋近辺に住んでいる人たちが共同で立ち上げたLLP(有限責任事業組合)です。この町の魅力をどう生かし、伝えていけるかを仲間と飲み会しながらずっと考えていて、もともと材木商だった建物を改築して「&n(アンドン)」という商業複合施設を始めました。素敵なテナントが入ってくれて、いろんな企画も行いました。毎月第2日曜日の朝市は、出店者さんがだんだん増えてきて今ではうかいミュージアムの駐車場まで借りて開催しています。長良川鵜飼屋花火大会は市民の方や地元企業から寄付を募り、自分たちで花火を上げるという大きな事業です。コロナ禍の開催に批判もありましたが、やることの意味は大きかったと思います。多くの人に感動してもらえました。
-
これからの野望(目標)について教えてください
町屋は歴史的に独特の細長い土地になっていて、それぞれに地権者がいます。その地割は変えられないですけれど、この細長い土地の使い道が難しくて、空家を取り壊した後も更地のままになっています。そうして歯抜けになった町は美しくないですよね。こういう町屋だった土地をどう有効に活用していくのかを提案していけたらいいなと思います。それからやはり、通りやまち全体のプロデュースをしてみたいという気持ちはあります。
-
あなたの考えるシビックプライドとは?
やっぱり自分が生まれ育った町なので、僕は岐阜が好きだし、色んな人にこの町を好きになってもらいたいです。建築を通してかっこいい家があるねとか素敵な街並みだねと思ってもらいたいですし、鵜飼みたいな美しい伝統文化を伝えたい、守りたい、見に来てほしいと思います。シビックプライドって抽象的な言葉でよくわからないという人もいると思うんですけれど、そういうことが大切なのだと思います。それから岐阜市は田舎すぎず、都会すぎずの感じが良いですよね。田舎だと隣同士や近所同士の関係が強すぎてそれもストレスなんですけれども、逆に大きな都市になるとたくさんあるコミュニティが相まみえない雰囲気になる気がします。岐阜ってちょっと辿れば知り合い同士とつながるんですよね。そんな関係性は岐阜市の良さだと思います。
-
コメント
住宅のことで悩んでいる方は、ぜひ一緒に大切な家について考えましょう。また、鵜飼屋地区の&n(アンドン)にも、遊びに来てください!
取材日 2021/10/21