4回にわたって開催してきたトークイベント「みんなのひとりと~吉成プロデューサーが今夜、話したいひと~」も今夜が最終回。最後を飾るゲストは岐阜県高山市出身の井上博成さんです。

井上さんは自然エネルギーに関する研究・実践を積み重ねるとともに、飛騨地方初の私立4年生大学「(仮称)飛騨高山大学(CoIU=Co Innovation University)」の開学に向けた設立基金の代表を務め、今まさに全国を奔走されています。33歳の若さにして驚くような壮大なプロジェクトの数々を展開し、想いを形にしていく…本当にバイタリティあふれる方です。
まずは自然エネルギーに関するお話から。日本一の森林面積を誇りながら、その豊かな木材を利用しきれていない地元 高山市の現状を目の当たりにし、地域資本の価値化に向け、木質バイオマスの研究・事業化を進めてきたとのこと。そうした中で、未だ見つけられていない地域資本を開拓するためには「教育が重要」との認識に立ち、高校生の頃からの願いでもある「飛騨地域の大学設立」の実現に向けて取り組んでいるとのお話を伺いました。
印象深かったのは、3.11(東日本大震災)が井上さんにとって大きな転機になったということ。自分の無力さを痛感し、世界観・価値観が変化した。そして結果、もともと抱いていたビジョンを20年早く進めることになったとのことです。

また、井上さんは木質バイオマス以外にも小水力発電などの地域エネルギー事業を全国で展開。その収益を寄付し、大学設立の基金を造成しているそうです。そんな井上さんの努力の積み重ねによって形作られようとしているCoIU。その大上段に掲げる理念は「共創学」。理念・実践・対話を往復するプロセスの中で、共に学び・共鳴し合える教育の場をつくること。それこそがこれからの時代に求められる本質的な学びになると井上さんは言います。
多様な価値観があふれる時代において、自分の価値観の中だけにいるのはとても快適で楽だけれど、何かイノベーションを起こすためには、快適でないもの(異なる価値観)も取り入れていくことが必要。それはしんどいことでもあるが、それこそが新しい未来像をつくっていく。大変力強いメッセージをいただきました。
吉成プロデューサーも「メディコスにもパッチワークのように、面白い人・変わった人など色んな人がいて、それぞれ距離感や温度感も異なるけれど、そこにはフラットな関係があるからこそ、互いにつながりながら新しいものを生み出していくことができる」と、井上さんの取組と共鳴する、メディアコスモスの可能性について語りました。

ゲストを迎え、様々なテーマで語り合ってきたトークイベント「みんなのひとりと」。メディアコスモスの標榜する「みんなの森」の「みんな」とは「ひとりひとり」の集合体。色んな可能性を秘めた「ひとりひとり」を大切にする「みんなの森」でありたい…改めてそう感じるお話を聞くことができました。