長良川漁船の造船技術の記録・継承を目的に、
美濃市の船大工・那須清一さんとアメリカ人舟大工で和船研究者のダグラス・ブルックスさんが鵜舟を制作した“鵜飼船プロジェクト”。
コーディネーターを務められた久津輪さんと、船主となった平工さんからお話を伺いました。
図書館にやってきた舟に乗船したゲストのお二人と進行役のORGANの蒲さん。
まず、久津輪さんから「鵜飼舟プロジェクト」に取り組むことになった背景である、
「岐阜の鵜飼舟と船大工の現状」についてお話いただきました。
鵜飼舟1艘作るに当たり必要な釘は900本。
一本一本船大工の手でうたれます。
船大工は木工とも大工とも違う、唯一無二の存在といえるそうです。
岐阜で現役の船大工はいま、2人しかいません。
今後、その方々の唯一無二の技術をどのように継承し、守っていけるのか、という思いから、このプロジェクトが始まりました。
次に、船を使う側の視点で平工さんからお話を聞きました。
古くから川とともに暮らしてきた岐阜ではありますが、
船乗りの現状は厳しく、廃船や沈船と呼ばれる水に浮かんでいない船がたくさんあるそうです。
まちでは感じられない季節や天気の変化を感じながら、日々、船を守っている平工さん。
鵜飼舟プロジェクトで制作された船を使って、
たくさんの人に船大工の那須さんの技術に触れてほしい、伝統を背負っていない自分だからできることを、と力強く語られました。
今後、船大工の仕事と岐阜の和船はどうなっていくのでしょうか。
船大工の仕事を次の世代へ残していかなければ、という久津輪さんの言葉もありました。
造るひと、乗るひとの垣根を越えて新たな可能性を模索し、文化を守っていく決意を感じた夜になりました。